たゆたう(著:長濱ねる)

たゆたう (著:長濱ねる)

ねるちゃん(アイドル時代からひっそり応援していたので、この呼称でいかせてください)がダ・ヴィンチで連載しているエッセイを纏めたエッセイ集。文庫版と特装版が販売されていて、私は特装版を購入しました。特装版には栞紐が付いていて、それが何だか堪らなく嬉しい。

 

本を読んで泣く、という行為は久しぶりでした。タリーズの隅でボロボロと。

泣く に至る心の変遷として、嬉しいとか悲しいとか、怖いとか怒りとか。そういうものは時々あったのですが、共感 で涙が出るのは、多分、久しぶりでした。

それがとても嬉しかった。少しずつ以前の感情が戻ってきているのかも。

 

私は昔からアイドルが好きで、アイドル(だった人を含む)の書く文章も好きです。遠いところで生きている、私なんかよりずっと努力している彼女たちと自分が唯一、隣り合わせで生活しているように感じられるから。

 

特に好きだったエッセイは「マッサージ」

"温かい人や言葉に思いがけず出会ったとき、いつも、ドラマみたいだなと思う。セリフみたいな言葉や善意に触れると、現実がこんな優しい世界なはずがないと疑ってしまうから。"

ここの文章、烏滸がましくもすごく分かる と思ってしまった。思いがけない優しさを差し出されると同時に虚しさを感じてしまう自分がいて。そういう自分にまた情けなさを感じちゃうのですけれど。(受け取り方が間違っていて、ねるちゃんの抱いた感情と私が抱いている感情は違うのかもしれない。)

 

あと、西加奈子さんとの対談もものすごく好きでした。以前、西加奈子さんの『おまじない』を読んだ時、社会的に女の子として扱われることに疲弊していた自分が救われたような まさにおまじないみたいな言葉を書かれる方だなと感じていました。その時感じたものと同じ質感の感情を抱いています。自分の嫌な嫌な真っ黒なところを大きな熱気球で運んでくれるみたいな、そこには温かさと安心感があって空はオレンジ色で。(なんか詩的になってしまって恥ずかしいけれど、日記なので良いか)

西加奈子さんの言葉もねるちゃんの言葉も、好きなものは沢山あったけれど一番印象的だった言葉。

"長生きしようね。四十、五十歳になったねるさんに会いたいよ。"

最後のこの一文に、ねるちゃんに向けられたこの一文にとてつもなく救われてしまった。私もそう言われる人間でありたい。

 

という感想は、まだ94pまでしか読んでいない人間の文章なのですが。感情が揺さぶられたから、新鮮なうちに言葉をまとめたくて久しぶりにはてブのアプリに手が伸びました。つづきを読むのがとてもたのしみ。お供だったタリーズのおいもラテは今年も美味しかったです。

 

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